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- 免震モジュールTGS型
北海道住電精密株式会社 設備技術部 設備技術課 課長 髙桑 和広 様北海道住電精密株式会社 代表取締役社長 中堂 益男 様
当社は、住友電気工業の関連会社です。切削工具の開発・製造・販売を行い、刃先交換型工具「イゲタロイ」の量産を行っています。この製品は、超硬合金製刃物で、鋼・鋳等を旋盤・フライスで切削加工する時に使用します。主に自動車、航空機、鉄道等の部品メーカーで用いられていまして、日本のモノづくりに欠かせない製品です。当工場は住友電気工業における刃先交換型工具の主力工場ですので、不測の事態が起きると供給が完全に止まってしまいます。その影響は、弊社はもとより直接供給する部品メーカーや自動車メーカー等お客様の生産ラインも止めてしまいかねません。そこでBCP(事業継続計画)の観点から、災害で被害を受けても直ぐに復旧できるようさまざまな手立てを取っていますが、特に生産管理や受発注に関わる基幹システムを地震から守る対策が必要であると考えました。当社の基幹システムは、災害発生後1日以内に災害1時間前の状態に戻せるようバックアップを取っており、このシステムが当工場敷地内に設置されています。東日本大震災の経験からBCPを見直す中で、2014年に従業員の安全確保のため防災棟を建て、床免震を施してバックアップシステムのサーバーも移設することにしました。北海道の内陸部は比較的地震の少ない地域ですが、当社は兵庫県伊丹市に本社があり、阪神淡路地震の時に大きな被害を経験しています。この直接体験から、地震に備える意識は常に高く持っています。また、東日本大震災の際には北海道も震度3~4を記録しましたので、なんの対策もなしに100%の安心は確保できません。防災棟の免震装置をTHKさんにお願いしたのは、機構的に縦揺れにも強い点です。遠路はるばる免震体験車を用意してもらい、実際に地震の揺れを免震装置が軽減することが実感できました。当社には工作機械の内作部隊があり、チップ生産の設備を自ら設計・製造していますが、その部品にTHK製品をかなり使っており、THKさんへの信頼感がもともと高かったということもあります。当社も多くのサプライヤーとお付き合いがありますが、営業と技術が別という縦割りの会社が多い中、担当営業の方が設置工事までの全体をフォロー、さらに経営者層の方も何度か足を運んでいただき、安心してお任せできました。防災棟の地震対策は整いましたが、当工場には振動に弱い三次元測定機等の精密機器が多く、ポンプやコンプレッサー等の振動が床伝いに伝播してしまうと精度が出ないことがあります。当社の製品は、わずかな誤差でも出荷できなくなるリスクを背負っている製品ですので、今後は、精度を維持するための防振対策にも力を入れていきたいと考えています。THKさんには、免震と防振を同時かつ高いレベルで実現する免震装置の開発を期待しています。